日本未公開のアメリカンインディーズの傑作青春映画

『アメリカン・スリープオーバー』

(2010/97分) ※ブルーレイ上映/日本語字幕つき
原題:THE MYTH OF THE AMERICAN SLEEPOVER

2010年度カンヌ国際映画祭批評家週間ノミネート
2010年度サウス・バイ・ サウスウエスト国際映画祭 審査員特別賞 受賞


監督・脚本 : デヴィッド・ロバート・ミッチェル

撮影 : ジェームズ・ラクストン 
編集 : ジュリオ・ペレス4世  音楽 : カイル・ニューマスター 
製作 : ジャスティン・バーバー 他

出演 : クレア・スロマ、ジェイド・ラムジー、ニキタ・ラムジー、
      マーロン・モートン、エイミー・サイメツ、アマンダ・バウアー

企画協力 : Visit Films/Gucchi's Free School/前信介



<概要>
─わたしと、あなたの神話─
2010年のカンヌ国際映画祭批評家週間にも出品された本作は、ジャンルとしてはいわゆる“coming of age story(film)”といわれるもので、思春期の少年・少女の心理的成熟の過程が「sleep over=お泊り会」を舞台に瑞々しく描かれている。
2作目の『イット・フォローズ』が日本でも本年1月に公開されたばかりで注目が高まっているデビッド・ロバート・ミッチェル監督の長編デビュー作であり、イベント等で数回上映され圧倒的な支持を得た。

ちなみにアメリカの「sleep over」では、夜はピザなどのデリバリーを取り、朝はパンケーキなどの簡単なものが家によって出されることが多いという。
大きな一軒家に大人数が寝袋を持って集まるというのは日本ではなかなか想像しづらいが、それでも観ていてワクワクするのは「お泊り会」というイベントが、なにか普遍的な魅力を持っているということだろう。

<ストーリー>
デトロイト郊外、夏休み最後の週末。少年は一目惚れした女性を探し、大学生は双子の姉妹の間で揺れ、少女は“楽しいなにか”を追い求める。初めてのキス、言葉では言い表せない恋、そしてパーティ。青春を追いかけている彼らだが、その瞬間もいつかノスタルジーを感じる過去になるのだと気づき始め…。

<コメント>
主人公のマギーはその後一体誰と本気で付き合いどんな人生を送るのだろうか。
スーパーマーケットで見かけた金髪の少女に心惹かれたボブの視線は、その後一体誰の上に注がれるのだろうか。
そしてマギーを見つめるベスやボブを見つめるマーカスの視線に込められた悲しみの色は、一体何を意味するのだろうか。
そんな思いが湧き上がっては消え、その残滓が静かにゆっくりと胸の底に降り積もっていく。
その繰り返しの中で、私たちは『アメリカン・スリープオーバー』という映画を観ているのではなく、
自分の胸に降り積もる可能性の残滓の堆積を観ているのではないかという思いに捕われることになるだろう。
(樋口泰人 映画批評家/boid主宰)



 
 

tollywood